雨に走る
つきのいし.

雨、
雨音
ヒグラシのリズム

おもむろに始る
朝のデカダンス
雨が沁み入る
抗体のしきたり

生き足りて苦痛です
滅落して遊ぶ生態は
蓄音機になりたいのだ

潰されない虫になりなさい
間近にいて、遠くにいきなさい
暴力的なやさしさで
私を堆積したいのだ

ジャンベを叩く 蜜柑が割れる
神を交替し合い、失くした神経を尖らせる
気性を沈めて、轟きなさい

蓄音機になりたいのだ
ヒグラシを鳴らしたいのだ
燐光を浴びたいのだ

剥き出しにできない身体の行き止まりから
さわれない骨にさわりたいのだ
心臓になっている実になりたいのだ
宇宙に行ってしまって、立てなくなるまで
生きているうちは止まらず/走りたいのだ

/止まって

しじまが欲しい
忘却を下さい
いったことも、したことも
忘れました

手と手が触れる
ヒグラシが鳴いている
雨、
虚しく抱き合って
小さくキスした。





自由詩 雨に走る Copyright つきのいし. 2005-08-04 16:39:07
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