黄色い速度
英水

30カラットで蜜蜂が鳴いている

空中に棘が咲いている
棘に切り裂かれ、花粉にまみれた大気は、
大気の色は?


棘に刺される
ある日、僕たちは棘に刺される

傷はぽっかり口を開け、
糊のような透明な血液
しか出てこない

傷口から入り込んだ花粉と受精してしまう
、としたら
、としたら

、としたら
光と性交している
あの涼しげな緑に立ち向かうことはできるだろうか


電気猫が乱れ飛ぶ

送電線が降らせる涙に濡れて

僕たちはいつか見えない明日に向かって
蜜蜂よりも速く
蜜よりも速く

あのうずたかく積まれた黄色よりも速く


自由詩 黄色い速度 Copyright 英水 2005-07-20 04:39:16
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