スパゲッティー、コーヒー、アイスクリームカフェ
チャオ

良心の呵責を感じた看護婦が、昨日、自分の祖父に謝罪文を書いたバーカウンター。
130席用意しているけど、130人以上の予約を喜んで受けてしまう店長。
ご自慢の料理は?ときかれて、妻の自慢料理を答えてしまったシェフ。
騙されて買った大きな机を南側に配置して、小さい頃お年玉で買ったテーブルクロスをひく。
「うん、完璧」と店長。今日も予約のお客さんは当日キャンセル。アルバイトの学生に頭を下げて、帰ってもらう。
「給料が払えないんだ・・・。」
深夜に交通整備をして、家賃を稼いでいる店長の姿を知っているアルバイトの学生は、不服に思いながらも、帰ることしか出来ない。
制服を着替えて友達に電話する。
「アルバイト変えなきゃ夏は遊べないかも。」

昨日の看護婦が小さな子供連れてくる午後8時。ご自慢の料理を暗記したシェフは、今日のお薦めを大きな声で朗読した。
さっそく、完璧に整えられた大きな机に案内する。
「せっかくだけど・・・」看護婦は店長にすまなそうに言う。
看護婦が無言で訴えるその目線の先、小さな小さな子供の足。
「ああなるほど」店長は大きな声でハッピーバースデーを歌う。シェフも一緒に歌う。
看護婦は仕方なくその席に座る。ちょっと苦笑い。
小さな子供もその席に座る。地面に足が届かない。テーブルに手が届かない。
メニューを持ってきた店長。素敵な笑顔。素敵な言葉遣い。看護婦はちょっと浮かない気分。だって、子供が食事できないんだもの。

スパゲッティーコーヒーアイスクリームパフェ。
壁に貼られた水着の女性。したには生ビールの値段。
スパゲッティーコーヒーアイスクリームパフェ。
黄ばんだメニューに大きなお薦め。
だけど、そのパフェにはスパゲッティーもコーヒーもアイスクリームもはいってない。
「ネーミングがいいんだ。」ある日アルバイトに店長が言った。
アルバイトは仕方なくスパゲッティーコーヒーアイスクリームパフェを注文するお客さんにこう付け加える。
「これはただのチョコーレートパフェですがいいですか?」
お客さんは断る人もいれば、気にしない人もいる。アルバイトはいい加減、店長の趣味には付いていけないと思っている、
スパゲッティー、コーヒー、アイスクリームカフェ。


自由詩 スパゲッティー、コーヒー、アイスクリームカフェ Copyright チャオ 2005-07-12 01:58:50
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