袋小路共依存
あおば



ヨーロッピアンのバイクで
袋小路にはまった場合
ハンドルの切れが悪いので
往生する
一度でUターンできるような
道幅があれば袋小路とは言えない
単なる行き止まりである
小路だから道幅が狭い
Uターンの途中で必ず縁石にぶつかるから
ぶつかる前にハンドルを逆に切って
バックする必要がある
もちろんバックギヤなんか付いてないから
よたよたとみっともない格好で
足を踏ん張ってバックする
しかし
日本の道路は平らでなくて
かまぼこ型になっていて
道の両端が下がっていることが多い
たとえれば
200Kgオーバーの重たいバイクを
つま先で支え
急カーブの
下り坂道を逆行する感じとなる

かなり前のことだけど
夢に見た新発売のバイクを買った
最高速度は260Km/Hでるとかで
走らせる場所もないのに買い込んで
週末のそのそと走りに行って道に迷った
迷ったら直ちに戻るのが鉄則なのに
道が狭いので後戻りしにくいのと
そのうちに道幅か広くなるかと
淡い期待を胸に抱き
緩い山道を上って行くほどに
道路は荒れて
とうとう砂利道となり
雪まで積もっている
この先どうなるか分からないけど
Uターンは難しいので
怖々と雪道をのろのろ進む
自分は今なにをやっているのか
考えると本当に馬鹿げているのだけれど
実際の状況なので
馬鹿げているからと言って
中止するのは恐ろしすぎる決断だ

しかし
なんという幸運か
だんだんと道は下りとなり
雪も無くなり
舗装もされて
道幅も広くなって
やがて
国道に繋がった
やれやれ生き延びた
そんな感じで
へとへとになって帰宅した
もちろん
へとへとになったのは
私の精神だけで
バイクと私の躯は
転倒しなかったので
なにごともなかった





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タイトルは「奇天烈デモクラシー」より



自由詩 袋小路共依存 Copyright あおば 2005-06-08 01:06:12
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