砂塵のむこう
花野誉
道路工事で
職場前の道は渋滞
ブラインド越し見える作業員の人たち
若い人が一人もいない
砂塵と高湿度の靄の中
上下するヘルメット
ドア一枚隔てたこちら側は
冷房が効く待合室
居心地の悪さを感じつつ
ただ見つめるのみ
そこに入ってきた患者様の怒声
「道路工事で道は混むわ、車が駐車場に入れ辛いったら!」
─我らのインフラ整備の為ですよ!!
と、強く応酬する
幻の己が目の前に
実際は苦笑いで返しただけ
帰り道
「おつかれさまです」
小さな声ですり抜けた
自由詩
砂塵のむこう
Copyright
花野誉
2025-09-15 10:53:05
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