海影
花野誉

交番の横

公衆電話ボックスの中で涙まみれ

お巡りさんは私を見て見ないふり

勝手な言い分と怒りを

優しく宥めてくれた人

救いあげて走らせる白い車

夜中の阪神高速はオレンジ色

視線の先は黒い海

欄干に二人並んで

耳に届く前に言葉は波に紛れた

夢から醒めたように   

海風に涙も乾いて

狡い私とひたすらに優しい人と

夏と秋の狭間

半袖のブラウスは少し肌寒くて

その人の懐に居場所を戻した



















自由詩 海影 Copyright 花野誉 2025-08-30 20:15:07
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