大きな雨粒がひとつ
フロントガラスに
ボトリと落ちてきた

さっきから
車の中は
沈黙で満たされていて
私はもう
ひとりで歩いて帰っていく自分の姿を
頭の片隅でイメージしている

些細なことで
壊れてしまって
もう二度と戻らない
そんな
そんな脆く危ういものばかりを
気がつけば両手いっぱいに抱えていて
ちょっと風が吹いただけで
バランスを崩してしまいそうだ

いっそ
この手を
放してしまおうか

なにもかも粉々になってしまえ
砕け散るがいい
私の愛するきみよ
私の大切なものたちよ
私のかけがえの無いものたちよ