(サプライズ、管のついたからだ)、のこと
はるな


思うところあって、スポーツ・ジムに通いだした。家のすぐ近くにあるので、(ほとんど隣といってもいいくらい)、行きたいときに行けるのがいい。それで、初めての日にひと通り機械の使い方を教えてもらったあとは、一人で走ったり歩いたり、ぐるぐるマシンを使ったりして1時間くらいして、帰ってくる。

運動はきらいだと思っていた。できないものだと思ってた。でも全然そんなことなくて、ようするにわたしは誰かと何かをするのが苦手だったのだ。体をねじったり伸ばしたり、ひとりで歩いたり走ったりしてくたくたになるのは、たぶん性にあってる。なんかそれは、恋の働きとちょっと似てるような気がする。

ごはんをいつも通り作っても、いつも通り食べられない日が続いて、捨ててばかりいた。食べ物を捨てるのは心が傷む。蓋もあけないまま賞味期限が切れたヨーグルトとか、半分だけたべてかさかさになってしまった甘いパンとか、焼いてほぐした魚、煮込んだ肉や細かい野菜のスープ、(食べられなかったかわいそうなスープ)。
男の子たちは、仕方ないよって言う。残してもいいよと言ってくれる。そうするとほっとして、あーいいんだ、よかった。って思う。夫はもっと食べられる、という。大きい一口を匙にのせて、これは食べられるって言う。食べられないと思いながら食べる。そうするともう一口食べられる、とまた夫が言う。
食べられない、と思うし、おいしいとも思わない、おなかが苦しいと思いながら飲み込み続けると、でも、そうなのかも、もっと食べられるのかも。と思う。



散文(批評随筆小説等) (サプライズ、管のついたからだ)、のこと Copyright はるな 2024-10-16 08:39:36
notebook Home 戻る