残虐な憲法
由木名緒美

憲法が新しく改定されるというニュースがあります。私達の生活にどのような影響があるのでしょうか。

まず、大谷のホームランにガッツポーズが出来なくなります。

彼は戦場に招集されていくからです。

ビールやコーヒーが飲めなくなります。

店からは贅沢品が消えるからです。

アイスクリームが食べられなります。

冷凍便のトラックが走る平和さはなく、戦車が国道を走り抜けていきます。

旦那さんが消えていってしまいます。

人を殺しに行かなければならないから
もしくは
殺されていきます

それでも

お葬式が出来なくなります

友人が銃弾に倒れても
両親が爆破に巻き込まれても
我が子がガレキの下敷きになっても

朝起きて、開けるカーテンがありません
ガレキの家に窓などはなく、直接太陽が顔を出すからです

人生が終わる時
隣にいるのは大切な人 ではなくて
柔らかい布団でもなく
病院は廊下まで血まみれで
迷彩服を着た兵士の抜き身の銃か
戦車で一思いに死ねるならばまだよく
破裂したクラスター爆弾の破片によって
手足が吹き飛んだり、目玉が飛び出たり、火炎放射の炎によって
地獄の痛みの果てに死を待つのかもしれません

うめき声のこだまする
町の路地裏で……


そんな、非日常が日常になろうとしています

ウクライナのように

軍事費が日に日に、巨額になってきています

社会保障や教育費が削られ、浮いた税金がそれにあてがわれています

日本には憲法というルールがあります

法律は私達が穏やかに暮らすためのものであり、憲法は私達に何かを強制することが出来る人達─政治家や裁判所や警察や天皇─が、悪いことを出来ないようにするため、彼等に課せられたルールであり、日本国民すべてが守るべきルールです。

今、その命と同等の憲法に書かれた、「戦争永久放棄」を誓った文章が、消され、上書きされ、虫食いだらけになっています。

決しておかすことのできない基本的人権は「公共の利益」により制限されるようになります。自由に何かを言うことや、どこかへ行くこと、何かに反対することが出来なくなる場合があります。

たとえば「戦争反対」という自由や、「兵役拒否」という主張や、「国外逃亡」という選択を、国が強制することを憲法が可能にしてしまいます。

「拷問や残虐な刑法を禁ずる 」とありますが、新しい憲法には「残虐な」なという前書きがありません。削除されるそうです。「残虐な刑法を導入します」という意味にも読み取れます。

また、「緊急事態条項」というルールが新設されます。何か緊急事態が予測されているのでしょうか?

このルールが新設された場合、最悪はヒトラーのような人が首相になっても、ルールの使い方次第で、私達はヒトラーを国会から追放することが出来なくなります。

ウクライナやイスラエルの戦争

第二次世界大戦

広島、長崎、沖縄戦、東京都大空襲

何も出来なかった私達

せめて、自分達の国の未来を、自分達の手で守ってみませんか。

「憲法改正のための国民投票」が行われる日、あなたは白い紙に鉛筆でなにを書くでしょうか。

テレビや新聞は、「政治家が国民を守るために憲法を見直している」と言っていますが、それは本当でしょうか

みんなで考えられたらよいなと思います。


日本国憲法

https://laws.e-gov.go.jp/law/321CONSTITUTION

前文

日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、

われらとわれらの子孫のために、諸国民との協和による成果と、

わが国全土にわたつて自由のもたらす恵沢を確保し、

政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意し、

ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する。

そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものであつて、その権威は国民に由来し、

その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する。

これは人類普遍の原理であり、この憲法は、かかる原理に基くものである。

われらは、これに反する一切の憲法、法令及び詔勅を排除する。

日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであつて、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。

われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてゐる国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ。

われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する。

われらは、いづれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならないのであつて、政治道徳の法則は、普遍的なものであり、

この法則に従ふことは、自国の主権を維持し、他国と対等関係に立たうとする各国の責務であると信ずる。

日本国民は、国家の名誉にかけ、全力をあげてこの崇高な理想と目的を達成することを誓ふ。


散文(批評随筆小説等) 残虐な憲法 Copyright 由木名緒美 2024-08-08 16:58:02
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