偶然と ことば
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花のことばを受けとった
これで こころは繋がるだろうか

明るいからひらいたよ 暗くなってとじた
思えば散ってしまうから
窓のこちらに棲んでいる
冴えた夢 透けはじめる頃
言いかさねるおはよう

やわらかさだけが纏えるにおい 傘ごしにながめ
ひろいすな浜で やせたマストが
弱ったけもののように揺れている
ただ息して 消えてしまわぬよう
ことばを食べいきのびる今

港の底で目ざめたいきものが
ゆっくり崩れかかる 月の骨に群れるたましいと
それをついばむ仔蟹たち
赤をます雨
黒がさす海
誰かの青白い記憶は
半分が光に晒されていて
あとの半分 闇のなか
風はあらゆる向きを従え 
時に 気づかないほどそっと
時に 力いっぱいつつむ

あなたからのことばが届いて
伝わるだろうか 時をえて
足りるだろうか 文字の裏から いつか
潜ませたやいばが
切りひらくこころであふれて

鳥の陰がくぐり抜け
草々は一層かがやく
まだ見たことのないことばを受けとって
今をささやく いくつもの偶然





自由詩 偶然と ことば Copyright soft_machine 2024-05-21 19:33:05
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