痺れる肩でつり皮を
はだいろ


管理職になった
能力を評価されたというよりも
年齢による玉突きだろう
毎日重たい案件がのしかかり
説明に口ごもる
左肩がしびれて
物事は進まない


秋葉原で電車が停まると
エロタワーの垂れ幕が見える
このあいだの土曜日、中に入ってみた
外国人のカップルが多かった
いろんな国の人
同性のカップルもいた
カップルって言葉、今使えるのだろうか
わからないけれど、一人で何万円も使っている欧米人もいた


僕は風俗引退を決断したので、
忙しすぎるのもあるが、
もう2か月も遊んでいない・・・
って、自分で言ってて説得力がないが、
今度こそやめようと思っている
何よりも一番の理由は、お金の問題だ
給料は上がったが、
あと5年と11か月で定年なのだ
そのあと、再雇用はあるだろうけれど、
手取りは半分になるし、
その時点で、まだローンも学費もたっぷり残っている
今から節約しないと

なのに、
風俗に使わなければ、他のことに使ってしまう
オリジナル盤のレコードや、
直筆サイン入りの銅版画・・・
そういうものは、売れるからいいかとも思うが、
そう言って、売るのもエネルギーいるしな


ギリギリ逃げ切れるのかどうか、
僕の年齢だと、瀬戸際だろう
会社も、日本も
だけど、僕が逃げ切ったって、子供たちや
子供たちの子供たちや
子供たちの子供たちの子供たちはどうなるのか
人には親切にしよう
優しくするのは難しいが
親切にならできるかもしれない
でも自分をすり減らすのは大概にしよう
若くないということの特権だ


娘が中学受験に合格したら
AIロボットを買ってあげよう
テレビやネットニュースを見ていても、
いやなニュースや、いやな顔ばかりが大きい
もう人間が人間であることが、
あれほど人間離れした醜さを伴うのであれば、
AIを恐れることなど何もないと思う
作られた良心の方が、良心のない人間よりも、より人間なのだと思う








自由詩 痺れる肩でつり皮を Copyright はだいろ 2024-05-21 08:59:38
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