へびつかい座のゴールドセイント
TAT
12月の4日になんか生まれたばっかりに
俺には本当の星座も無い
一番哀しいのは自分に嘘を付けない事だ
親でも友人でも兄弟でも恋人でも
ペラペラの二枚舌でどうとでも丸め込めるのに
どういう訳だか俺だけは俺の嘘を見抜く
旨いもん食わせても
女をあてがっても
好きなだけ呑ませても
褒めても
金をやっても
『もう仕事になんか行かなくていいぞ』
『家で一日中寝ててもいいんだぞ』って
そこまでしてやっても
絶対どっかで気付きやがる
静かに確かに見抜きやがる
昔からそうだ
どうやったって
自分を欺けない
こいつは底無しに飢えてる
絶対に癒えない乾かない傷を負ってる
どうにも手に負えない人外だ
病気なんだ
不治の病なんだ
一生傷なんだ
致命傷なんだ
只の甘坊さ
只の気取り屋だ
只の臆病者だ
只の愚か者だ
只の気狂いだ
只の
詰んでるだけだ
病んでるだけだ
終わってるだけ
サボってるだけ
浸ってるだけ
要は口だけ
月なんか出てない夜に限って哭きたくなる
よりによって今ここで電源が落ちる
よりによって一番惚れちゃだめな奴に惚れる
絶対にこの金だけは使うな
絶対にこの金だけは使うな
手持ちの小銭が足らなくて
惨めになって頭に来て
虎の子の定期まで無理やり崩して
ATMで全ておろして
今夜ぜんぶ呑んで
なにもかも駄目にする
洞穴みたいな満月が
今ごろ出てきて
訓示を垂れる
道も照らさぬMatteな月が
洞窟みたいに雫を垂らす
こんなだから犬も
あれを敵と見なして吠えるんだろうか
そんなだから
またも死にたくなる
またも消えたくなる
粉々に砕けたい
俺がグラスだったらいいのに
テーブルから真っ逆さまに落ちればいいのに
俺が俺の嘘を
見抜けない位の阿呆なら良かったのに
12月の4日になんか生まれたばっかりに
俺には本当の星座も無い
12月の4日になんか生まれたばっかりに
俺には本当の星座も無い
12月の4日になんか生まれたばっかりに
俺には本当の星座も無い