そしてまた始まる
itukamitaniji

そしてまた始まる

「じゃあまた」って いつもみたいに手を振った君の顔には
さっきまで誰かに見せてた笑顔が しばらく張り付いてた

最後まで気の利いたことも言えないまま
すぐに泣き出したくなった心は耐えて
ブルブルと震えてた 震えてた

もらってばっかりだったよ 何にも返せないのに
荷物は重たいのに 何にも捨てられずただかさばるだけ

坂道の途中でもう振り返る
さっきまで一緒に居たはずの背中
遥か遠く 小さくなっていく

冗談みたいな毎日が 積み重なって至った今日だ
今ここに立っているのは あの日くじけてしまった自分
何度となく繰り返して 戻ってきた振り出しで
ここが何かの終わりだって また何か始まること信じてる


幼な子が手放してしまった 真っ赤な風船が
重力を振り切って 真っ青な空に高く高く昇っていく

為す術なく立ち尽くして見上げていた
こんな時は一体どうすればいいのだろう
泣けばいい? 笑えばいい? ねぇ教えて

成し遂げたという歓びも 変われなかった後悔も
想いの絶対値は同じだろう どちらに転んだって
君を前に進ませる 原動力になり得るんだ
だから何一つ無駄なことなど ありはしないんだって信じてる


僕なんかと一緒に居てどうだったの?
何か意味のある時間を過ごせただろうか?
性懲りも無く そんなこと考える

離れていく者の未練と 見送る者の虚しさと
どうせなら寂しさを分け合って 半分ずつ持っていこう

不甲斐なかった毎日だって 君が居たから幸せだったと
ようやく言葉を見つけたときには もう別れの時だった
ならば僕はここで歌うよ 君と居たことその証明に
ここが何かの終わりだって また何か始まること信じてる

また何か始まることを信じてる


自由詩 そしてまた始まる Copyright itukamitaniji 2024-04-04 22:28:50
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