午睡
レタス

ぼくはインドの山を登っていた
岩に座る行者がいたので聞いてみた

この岩にどれほど座っているのですか

久遠と言えば久遠から
刹那と言えば刹那から此処に座しておる

久遠と刹那は同じことなのですか

時空はメビウスの輪である
此の世で一番遠いところは何処か知っておるか

それは宇宙の果てだと思います…

いや、宇宙の果てにまた宇宙が在り
その先に宇宙は果てなく続いておる
そなたにとって一番遠い処はそなたの立っておる場所じゃ
未来も同じこと、遠い未来も今にある

メビウスの輪から出られないということですか…

そう言えばそうじゃが、輪廻を久遠に繰り返して存在は消えてゆく
光りと闇の螺旋から解き離れて自由自在なものになる
明らかにするということは真の意味においては諦めじゃ
そしてメビウスの輪から解き離れることができるのじゃ
それを刹那に知ればそなたは真の意味において自由を得られる
それを煩悩即菩提ぼんのうそくぼだいという

ぼくにはとてもできません
沢山の生命を奪い恋愛もします…

刹那でよいのじゃ
あらゆる現象に感謝することだ
無の境地を少しでも広げればよい…

行者も山も消えて
ぼくは眠りから覚め
アイス珈琲を飲んだ



               初出 日本WEB詩人会 2024/03/29


自由詩 午睡 Copyright レタス 2024-03-29 14:28:48
notebook Home 戻る  過去 未来