うつくしさ
やまうちあつし

別の星から
花を摘んできた

それはそれは
大変な旅路だった

いろいろなものを失った
財産や名誉
同行していた友人たち

そしてこころ

すっかり空っぽになって
一輪の花を握りしめ
ぼろぼろの姿で帰還したのだ

出迎えた家人は言う

そんなにしてまで
手に入れなくては
ならないものなの

リビングに飾ったその花を
口を開け眺めている

まるで花瓶に
なったみたいに

床を濡らす


自由詩 うつくしさ Copyright やまうちあつし 2024-03-19 10:22:01
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