夢十夜 ②
レタス

黒猫がにやぁとぼくを誘うので
ついて行くと其処は巨大な化学プラントだった
あちこちに蒸気が噴出している
あと五分しか時間がない
ぼくはバルブを閉めにかかった
黄色いヘルメットの男がバルブを開けていた
ぼくは やめろ! 早く閉めろ!と叫んだ
男は素直にバルブを閉めにかかった
全部のバルブを閉め終わり
圧力計を確認すると配管の内圧は正常値に戻った
男は腹が減ったというので
仕方なく車の助手席に乗せ
みなと屋という うどん屋に行った
男はカレーうどんの大盛をたのみ
ぼくは肉とじうどんの大盛をたのんだ
気付かなかったのだが男はぼくの弟だった
何故バルブを開けたのだと聞くと
おふくろが悲しむからと言った
それでぼくは納得した


             初出 日本WEB詩人会 2024/03/10


自由詩 夢十夜 ② Copyright レタス 2024-03-10 07:04:16
notebook Home 戻る  過去 未来