はるびと
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耳をとざしたほうがいい
ことばを思わないでいいから
目もひらかず
ただ触れていたい
指で肩で舌で

そのからだの奥を覗きこむような
こまかな息づかい
一度は奪われた草木を甦らせ
半透明の皮を満たす
うごきはじめる痛みの端ばしで
ほころびるそうだから

繭のようにまるまるといい
ぼんやりと過ごす午后
自分は壊れやすいいっぽんの管だとおもい
くり返し揮発すればいい

蝶の脚を春風がなぜるから
青い石を春絹が包むから
古い海で春人が咲うから





自由詩 はるびと Copyright soft_machine 2024-03-09 18:56:34
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