森の夢
レタス

うぉ~ん うぉ~ん と森が鳴る
樹齢300年のミズナラの大樹を倒すため
ぼくは特大のチェーンソーを抱え
森の奥を彷徨った

腹がへったので
紅鮭、イクラ、昆布のおにぎりと
ロースカツサンドを腹に押し込めた

さ~て… と
どれを切りだそうか…
ふむふむ 
ひと際太いミズナラに眼がとまった
こいつはさぞかし虎斑とらふが見事だろう
分厚い一枚板のテーブルが六枚は採れる

お清めに一升瓶の酒を樹の根元に振りかけ
チェーンソーのエンジンを回した

樹は言った
倒すのは良いが テーブルにするのなら
300年は大事に扱えよ
寿命が300年延びるから
それならオレを倒しても良い…

ぼくは樹を倒すのをやめた
人手に渡したら300年大切に使う者など居ないのだ

ぼくはまどろみから覚めた
さぁ 家に帰ろう



             初出 日本WEB詩人会 2024/03/07


自由詩 森の夢 Copyright レタス 2024-03-07 22:44:28
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