こころを撫ぜるうた
秋葉竹

  

忘れ去った君のあたたかい肌
不思議な痛みが走る鎖骨の水

朝起きて眠れないから働く
傷つけたいほどの鈍欲を食べて

自然に触れ合いましょってなんなんだろうか
彼女を好きになるということだろうか?

伏せられた過去の写真ですか
あえてみることで傷つかなくてもいい

かつて縋った火薬庫を巡回する
だれもが寂しくなる早朝地図は棄てた

冬の月が射す一番好きな約束のひとは
彼女のことだが着飾っているみたいだ

だれに好かれたいと云うのか
だれのことを好きだと云うのか

わたしはといえばのけぞるわがまま云って
雪の上を寝転び回って泣きたいくらい寒い

もうこうなったら攫っちゃうしかない
と手首をつかんで走り出そうとするが

ジッと目をみて首を横に振る意志は
そうでなければ生きてゆけないほど重い

無口じゃなきゃ良かったなこんな
好きさえ伝えられない悲しみが嫌で

食べ歩きするクレープは
トマトとカラシレタス味のやつ

ひとってだれしも好きなものに
好きって云われて過ごしたい

かといってひとのものを盗むのは
心が闇へと焼き尽くされるから嫌で

謝れば許してくれるならいくらでも
心の正しい謝罪をなんどでも繰り広げる

花鳥風月しみじみ感じ
両手をあわせて風来に祈る

ちゃんと目をみて話そうと
ちょい嘘まじりの未来の言の葉こぼれる








自由詩 こころを撫ぜるうた Copyright 秋葉竹 2024-03-06 22:52:17
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