永遠
由木名緒美

光のはやぶさ
水の瞬き
森の溜息
追い来る風
吸い込む私達の鼻腔
いっせいに天を仰いで

胸の袂を開き
秘密を明かそう

あなたの真名
近づく足音に
振り向く人

花びら
笑いだす木々
「はじめまして」

衣越しの抱擁
跨いだ天の川
もうそこには闇夜しかなくても

立ち止まらないで
この春に
旅立つあなた

約束を
河に託して
海の潮を越えたら
雪となって
踊りましょう

永遠から覚めた
赤ん坊のように
老いていく猫の毛並みのように

変わらずに愛されて
愛する日々を

言葉を重ねる私達は
いつか言葉を千切り捨てられるのでしょうか

繰り返す螺旋を登りながら
言葉も越えて
何も必要とせず
愛し合うまで

螺旋を下りても
交わらない
交わる必要のない
愛に溜息をつきながら




自由詩 永遠 Copyright 由木名緒美 2024-03-01 13:10:34
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