五時五十七分の日入り
民二郎

下着買い受けの女へ生理寛解を拝みにいくと嘯いて
最果ての夕暮れ春の灯台にあった
魍魎が私と共にいた
ヤブ椿の花は無心にあえいでる

既視感もかくやとばかりに他人様と衝突する
左肩が痛む 医者は巻肩と云う
寝相もよくない 自由さがない 子供らしさも
無意識が有意識の生活を規定する

灯台で夕景を撮っても人っ子一人いない
幽霊バスに会う
最果ての場所は虚無と私が人でなくなる予感
誰も知らない暗殺をされるような

やんれやんれと帰路につくことにした
人家の灯りがやっと目につく
コンビニで先に並んだおっさんが
先に行けと云う 優しさが染みる
恐怖で知らずに同情を買う顔をしていた

右肩を動かすと左肩の痛みは和らいだ
私ばかり掘っても苦しみは続く
肩と同じ構造
他者を赤子のように求めなければ虚はつづく
魍魎は私を押し出したいのだろう


自由詩 五時五十七分の日入り Copyright 民二郎 2024-02-06 20:42:44
notebook Home 戻る  過去 未来