雪と天道虫のファンタジー
ひだかたけし

雪が舞い始めて
都心は次第に白一色に
行き交う人々一人一人の背に
不意にふっと小さな天道虫が留まる

艷やかな赤に黒の斑点の色合い照り輝く

円やかな小さな天道虫が留まる、

 雪は降り続けて雪は舞い
   独り独りの人の身が
 やがて発光し始め

なのに

人々は気付かない、自らが発光して居ることに

そうして

天道虫は還っていく
発光し続ける人々を見守りながら
天に還っていく

  ∴

雪が舞い続けて
雪は降り続けて

都心がすっかり純白に埋もれる頃、

震える冷気に 

人人人、

いつしか透明になって
いつしか透明に発光しながら
発光する透明 相変わらず忙しく生き交いながら

一羽の漆黒に煌めく巨きな鳥 天空を優雅に横切っていく













自由詩 雪と天道虫のファンタジー Copyright ひだかたけし 2024-02-05 16:19:49
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