オルゴール
日々野いずる

こうして
踊る人形は
同じ動きでくるくる回る

いいことあった
悪いことあった
朝になって
寝不足のような顔が
ただ腫れている目が
夜の怖さが
朝も怖くて
いつかの終焉と祈りが
今すぐ来ればいいのに
顔を洗う

存在は許されている

くるくる回る
裾が広がって綺麗
風車とか万華鏡とか
そんなものの群集劇になれるはずがない
ぎこちない踊りが観衆に
試されている
無音で
雑音で
踏むステップを間違って
音と一緒に
間違っている

雑音が流れる雑踏を
オルゴールに閉じ込めて
見つめて
含蓄ありげに頷いて
誰かの踊りだけが
鑑賞に値する

私じゃない
君でもなくて
誰を見つめても
何を聴いても
汚れるし
汚れたままでいる

安穏の光は
暗闇にしかない
君も私も
何処にも行けないねって
笑った時が一番幸せだったね
何も見えなければいいのに
何もかも見えたらいいのに
どっちでもない半端な
半端で余り物で
切り落としが
ここにいる
鑑賞に値しない
人間として



自由詩 オルゴール Copyright 日々野いずる 2024-02-03 02:59:29
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