ブルー
由比良 倖

血の中に直接
空間を溶かして
足を腐らせる(肩が落ちていく
弱った気分のままハイになっていく

陸上にいた私
私がいないなんていう歌の台詞
指先が痛いときにしか書けないよ

血がビタミン剤みたいに澱んだら
私の血液をあなたに打って
注射みたいに転がっていく、私の骨
(世界の終わりが来る前に
(私を殺して
(身体なんか捨ててしまって、
(ギターの音に・・宇宙には消えて・・

ここにはいない人々が 列を成して
指の丸みを弾劾する 君たち
右手の指も 切り落とそうか?

身体が消えてったら
夕暮れの街を また歩こうか?
笑いながら 茫然として
ガラスみたいに くしけずられた空の下を

不安でさえも 脳を腐らせる快感
夢で見たとき 会ったとき 私は嘘を
噛み 潰しました 指先が
宙に浮くとき エンドルフィンが

いいの 私は文字を 欲している
薬など もう要らないと思いました

私は腕を切っていた 文字をそこに擦り込んだ
暗い背景が、行間の闇を浮き立たせて
歌は入れ墨、ベースの青い腱、墓標、痛い心、
ギターで風に墨を擦るとき、

髪の毛があおく、吹かれるころ、
ギターが静かに、至近距離から遺伝子を焼き切ったころ、

血が流れて、血でペンを滑らせました、

歌は入れ墨、
心臓が止まる音を、
眠る直前の脳が聴いたような気がしました

私の部屋は、
まるで私の夜のための、棺みたいです
私は不完全なので、この部屋には、知らない誰かを
住まわせるべきなのでした


自由詩 ブルー Copyright 由比良 倖 2024-01-26 02:53:57
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