いくはて 雨露の飾り
あらい

真空管ラジオからAnotherが閲すること
ちょっとだけ鏡面を撫で、茶化しただけ
濁しただけのCeremonyを厳として崩していく

はて、シコリの時差はソトズラの淡青に陽気
戸惑いの笑みよあるかないかと、存分に
隣席に重ね合わせる、明かりである
あるが、にわかに痛むのだ。
指先や足元が透け、未開いた頁がおぼろげに
揺れてしまい、怒号がする、窮屈だと感じられ
呼吸が通らず、だみ声も届かないありさまだ

重々しいばかりのここは聖域

未成熟の展示場に
数しれず 手をかざす
窓辺の と おく
入道雲の 蝋燭よ 
立て、仄か明かりは

月光だけ溢れれば、馴染んで云った

繁栄の痕
ゆるやかな白と黒の群れが
monochromeの木々
なぜ夕暮れを映す庭は
わたしはなぜのぞいていくのか

狸がしみ付いたのだと孕んだものを拾った
手紙の一部を寄越す口から茶を二度含んでは苦い
見つめられるとあてどないのだと覗き込んだ
旅人だけだった。
躊躇いながら試しにうたう袂に落とされたは
なんとも、腐らせ いつまでもながくほそく中空に
呑み込まれる寸前で制止している

証拠もなく、性懲りもなくいまだ
低湿な沼地にいくばくもない
残花を浮かべる、小舟にはなにも
のこされてはいないけれど
紅ばかりが黄昏を演じている
燃え滓の躍りだろう、まったく

かえりみちに或る抜け裏は胎内の雨露の飾りだ

おぉ烏よ、
おすましの造形家のひとつと御亘せば 
飴色に透ける聖杯に翡翠を残す
万別の澱はよすがに
藤の蔦に薔薇が絡まる 
向日葵の傑作を育む土塊に
雪解け水よ! 上澄みよ! 
真顔でいいながら
まざまざと、瞼の裏だろ、
おおげさに!

また、ずくずくと身なり
シカケ合致のかつての
夢を織る破れた扉の向こうを報せる 
真鍮の坂道を疾走るカイナも下肢も虚ろ
うしろぐらい汗ばみが吹きさらしの風の
涼やかなさけびがなまくら葉を一燈にくぐらすのだ


自由詩 いくはて 雨露の飾り Copyright あらい 2024-01-18 07:54:40
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