影と実体
あらい

彩度の脆い加速度も迷化した域をしらじらしく酸い
手摺りされたエンジェルラダー
薔薇色の秘石箱。滲みてるのか。気韻にあおりつける
境を奥に、背にしても砕く。くものうえ
骸骨も、拝む、光彩 イバラの棘で、足元だけ
微熱の篝火にこれでもひとつ、焚き付けた鍵、覆った
かたちがえ、膣がある。陰茎がある
塗れたぶん滾らせ反射して屑が躍る。碑の穂に中る
きえちまうもの、そのあいだ、埋め尽く不知火
とき、時に。目を閉じて、もうたぶん、うたかた
蛇腹めいたなにか、洒落た空中楼閣の陰にこもっている
鞴に、応アタる、瞠目に渇く

(渺茫)

引き込まれる。 入滅する隠し絵だな
えぐえぐと、品のない水平環に
そんなの。しらじらしいほころび
薄片に色を取る、風をくすぶる、無意味な慈愛だけ
一本の銀杏木、穂を拓けた芒
その汎用性。夕間暮と日常のスリットへむかって
すれ違えるほどの雨漏り、また 青写真

感光するな――影と実体


自由詩 影と実体 Copyright あらい 2023-12-12 22:30:29
notebook Home 戻る  過去 未来