sayonara.com 1-10
AB(なかほど)

  


あの日の雨は
もう降らないのかもしれない
もう降っているのかもしれない



明日
海を見にいこうと思う
海を、見にいこうと思う



辞書の文字が夕焼けに溶けて
世界がぼやけて
君の世界がぼやけてゆく



その証拠に
明日の仕事のことを少しでも思い出すと
簡単に消えてゆくのです



くしゃくしゃになってるのは僕のほうで
握りつぶしてしまった写真の中でも
君はやっぱり笑顔なんですね



今、君が飛び立つ理由を僕は知らない
君が微笑んでいる理由も僕は知らない
バイバイ、エンキドゥ



君の声も
君の顔も思い出せないのに
君の匂いなんて思い出したはずもない



せめて、ハーブをちぎり
魂を
在るべき場所へ



なんやわしの腹だけままだまだ元気やなあ
 って言うから
みんなで笑って欲しい



第二製鋼所もとうとう夜間休止だという朝で
も、工長のおっちゃんはいつもの調子で、次
の夜にはいつものように、グッド モーニング
なんて言いながら、会える気がした。






 



自由詩 sayonara.com 1-10 Copyright AB(なかほど) 2023-10-22 19:08:29
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