インターゾーン
由比良 倖


眠いとき、私は動物みたいな目を持っている、

あさやけ、

白い虫の羽根が窓からの光に舞っている、

青い雷が水平線から、
私の朝を満たしている、

身体が溶けていくような日々です、
ラヴェンダー色の服を着て、
二階の震動に歯が揺れる、
この世がこの世でも、あの世がこの世でも、
関係ない、音楽と言葉は、
私からあの世とこの世の境を
取り去ってしまう。

この世を忘れさせてください、
光降る音楽を降らせてください、
今をノイズで浸してください、
誰も、邪魔しないで。



思う存分、夕焼けを浴びた身体が、
群青色に溶け出す時間、
指先に触れた匂いに、
引き出しの中の青いペン、
鍵盤、

空中では回転扉が永遠に私を誘っている……

じかんのないじかん

私は眠い
夢から爪が伸びてきて
伸びてきて
その爪には枯れたレンゲの葉が一枚
付いている


自由詩 インターゾーン Copyright 由比良 倖 2023-10-08 10:25:46
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