名後
soft_machine

君は 名前だったよね
ちがうと言った 名後、って何度も

前じゃない。後、済んでるの
ある日突然ゆりかごの光がベランダの向こうを歪めていたから
それが空と胎盤の混淆と知ったのは最近なの、だから後でしょ

つまり映像だろうか残響だろうかなんて分類の些事はとっくに
四十八時間の誕生に前後して
きっちり覚えているのです
だからね、名後
また忘れるようなら
酷い目に遭わすから

名後ね、冗句にもならん残滓のよすがにしたってひねり足りん

甘いだ液の郷の悪魔たち
強酸で充ちたお腹の中の迷図
子どもらしくある為
染みは目立たせてはならず
床はロボットが掃除しなくてはならず
午後は優雅な背伸びしなくてはいけず
争いの火種ばかり
目的などとっくに見失い
肺胞はどこまでも拡がるにまかせ
やがて旅立とうと言うか
薄荷の魅惑に覚醒する迄放置して

私の呼び名は、名後
分子単位で
全てを管理する者





自由詩 名後 Copyright soft_machine 2023-05-07 19:04:54
notebook Home 戻る