これでいい、そう これでいい
ひだかたけし
朝だ
熱気がもわんと身体を包む
街は目的を持った人たちが忙しく進み
何の目的もなく歩いているのはわたしだけだ
色んな形象をした白雲が
青い天を流れていく
突然、足許の大地が裂け眩暈する感覚に襲われ
わたしは思わず天を仰ぐ
時折、到来する
それは恐怖ではなく
圧倒的な驚きと歓喜に貫かれる瞬間だ
天が、大地が、世界が、生動している
わたしの生命は燃え立つ
間もなく疼痛が、肉の痛みが始まるだろう
早くも耳鳴りが激しくし手足が痺れている
でもわたしは長らく耐えるだろう
燃え立つ生命を、裂け生動する神秘を、自分が住まう宇宙を
深く感じ受け容れる
時間を瞬間を持てたのだから
今日も驚きと歓びと忍耐に充ちる一日が始まった
これでいい、
そう これでいい