はつ恋
soft_machine

紫軍は勝てなかった
水色の汗を吸い終わり
またからからに乾き切ったグラウンドで
キミのバトンはキリキリと舞い
ボクはハードルの決勝で転倒した

ふたりのうちどちらかでも完走出来ていたなら
飾り華は紫の得点板に吊るされていた筈で
先頭を駆け抜けていた膝の
なかなか冷めない熱をかかえ
つむじ風にまき上げられた粉砂がふる中
ほそくて長いなみだをこぼした
ボクはそんなキミを恋した

友情で結ばれていたものが
ばらばらにちぎれ散って砕け
代わりにうまれた感情は
たやすく醜くなりそうで
あえて平仮名を交える
はつ恋、と言った

キミの瞳の中であらゆるものが繋がりをもつ
ボクはその一部から、中心になることを択んだ
あの風がやむまでに
ひかりの角度を計算していた
ことばの響きを大切に聴いた
好きと言ってくれないのなら
恨んで過ごす夜の息の根を止める



自由詩 はつ恋 Copyright soft_machine 2022-09-09 04:16:45
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