ミゴロモにたとえよ
あらい
待合室に金魚が咲いている、感覚を
惨殺する(業とは)きっと細くしなやかな
――クローバーに今日もひかりは降る
脈々と茂る翠に
ふらついたときめきが栄える、朦朧
とした意識は無鉄砲で意地悪だった
薄らぽにゃりとした綿毛の
息を呑む子どもたちの大通りに、面した
僻地に行く先を追い求めた時に
蜃気楼のようなわずらいが
あゝ外は、どうなっていたのだろうか
檸檬色の蝶が糸を張るように
両表の折り紙を丁寧にちぎって
はりつけたみたいな この魔法を
零したいばらは、
『風をずるずると浴びる。』
残滓を施した中心には
『積み木ばかりの御伽の国』の
保護色だけが道徳に 似合っていたと
<標本室と匂い立つ>
雲の糸を紡いで
えがいた
「おやすみ」
儚い恋模様よ
廃線にある口添えばかりのはしけ船
おおらかな花の波にぼんやりと
照らしていく
なんとなく
待ちくたびれて
いたような、総べてが 餐まれ
心が蝕まれる地下へ慄えるは続世界へ
とりたちのささやきが、氷の底に月白を抱く
眼光まで
熔けはじめた空を游ぐ(白濁の淫雨)
永劫に頬を染める
この手で/
目隠しを/
外した訳も。
蒼茫の葬列は泥沼の星光
その宝石の不浄を結ぶ死期を
ミゴロモにたとえよ
自由詩
ミゴロモにたとえよ
Copyright
あらい
2022-08-08 19:09:12縦