夢日記
雨の音

昔の詩人の家を観光していると、5階の窓から青い光が入っている。
綺麗で興味を惹かれて近づいて行くと思ったより窓自体の色は薄くて、ちょうどラムネの瓶の様な浅い緑色。
腰のあたりの位置にある窓だった。
綺麗で暖かくてそばに寄って絨毯の上であぐらをかいて窓を見ていた。
景色は遠い、5階の高さじゃないなぁ、煙の工場、堤防、遊ぶ子供の声が聞こえる、樹木、川、大人が子供を呼ぶ声、少しずつ街が夕焼けに染まって行く。
窓が不思議だ。
赤いのに何故か空が銀色に見える、光の色は間違いなく赤なのに、景色は焼けた様に灰白〜銀の様な色をしている。
何故だか不意に歌が浮かぶ
銭湯に行く家族の声が聞こえるからだ。
あまりに仲睦まじいというか、理想的な様子で居たので少し泣けたからだ。
お父さんが言った、銭湯に行こう
僕はワクワクしながらタオルを持ってきて、妹とお母さんはシャンプーを選んでいる。
早く行こうよと急かしながら、女は時間かかるな!とお父さんと笑う。妹が拗ねて、お母さんが苦笑いしてる。
妹と手を繋ぎながら外に出て歩く。お母さんとお父さんも手を繋いでた。妹と牛乳の味を喧嘩しながら、なんだか幸せな気持ちで銭湯に向かう。
確かそんな内容の歌だ。

母に呼ばれた気がして振り返ると他の観光客が迷惑そうに僕を観ている。
ごめんなさいと謝りながらその大好きな窓を離れると、みんなスマートフォンでその窓を写真に撮り始める。
申し訳なさを感じながら詩人の家を後にする。
家族と合流。
妹(14歳ぐらい?)がお気に入りのバッグを踏まれたらしく、気の毒なほどベソをかいているが、あまり母は取り合わない。
ポケットからハンケチを取り出し、何故か持ってるヴォルビックで湿らせて鞄を叩いてやると妹があまり信用出来ない目で僕のやりようを見ている。
母がため息をついている。
父が微かに苛立っているのがわかる。
足跡がなんとか取れると、妹が小さくありがとうと言い、父が早くしろ、と低い声で急かす。
僕の家族は歌にならないな、あの詩人の家にとてもすみたいな、あの詩人がソファに座って笑って僕をみていた様な気がするんだよな、それは素敵な事だよな、と目が覚めた。


自由詩 夢日記 Copyright 雨の音 2022-06-18 01:11:29
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