雲に溺れる
櫻花 葵

ぐったりとした曇天が
ハァハァと息を乱して
心に海を繁殖していく

腐った本音は体を捻り
濁った言い訳は舌を切り
焦った嘘は目を泳がせた

動脈に杭を打てば
色鮮やかな不機嫌が吹き出した
静脈に釘を打てば
ささやかな不満が溢れ出した

白波を立てた空に飲まれていく
無色透明の染色体

ちょっと痛いね
ざぶんざぶん


自由詩 雲に溺れる Copyright 櫻花 葵 2021-04-06 07:27:44
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