料理で俳句②河豚
SDGs

~本日のお品書き 河豚さし~


  とほたふみてふ虚実皮膜や河豚の皮


たっぷりの氷水を用意して、虎フグの皮を湯引く。
背中の黒い部分は二十秒。とうとおみは十秒。すぐさま氷水に入れ十分。
出刃で小口に切っていく。
それを「もみじおろし・橙・浅付き・醤油」でいただく。

なにやら俳句の世界では「鱧の皮」を詠むのが「通」らしく、
あまり河豚の皮を詠まない。
詠む前に食っちゃってるあさましい現実が詠ませない(笑)。

いまもひと冬に何匹も自分で下して食ってしまうから、
刺身のほうにはなんの愛着も抱けなくなってはいるが、
から揚げにしたり、ステーキにしたりで変化を楽しんでいる。

それにしても懐かしいのは、河豚の干物。
今じゃ干したのをローラーで押しつぶしてぺちゃんこにしたのしかお目にかかれないが、
以前はそうじゃなかった。

いまのように冷凍冷蔵設備のなかった河豚漁の延縄漁船は
約7日間の漁期間のうち最初の二、三日にとれた河豚は、一匹を背と腹をそれぞれ松葉の形に下して
船べりのロープに干した。そして寒風の中を数日。
漁が終わり、生きた河豚は下関は唐戸魚市でセリにかかる。
で、あの干物は・・・。

私がしっかり頂いていた。
炭火で焙ると、丸々太った身から旨みもろとも蒸気となって噴出し、食え食えといってくる。
その、ほろにがしょっぱい、ふくよかな味ときたら・・・。
冬の玄界灘、黄海、その荒々しい潮風の味・・・。
子どもだった私のおやつでありました。
今なら酒に合わせて食いたいのに、実に残念。
三河(身・皮)と遠江(とうとおみ)を掛けた洒落を知ったところで無念は晴れないのよね。


俳句 料理で俳句②河豚 Copyright SDGs 2021-02-09 16:34:52
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