流れず星
道草次郎

甘柿が夜のきわ
闇のふしどに熟れ育つ
不気味なかおりする
琥珀の月影のした
微細の夜霧の芳醇を
みえない腕で
掬うては
リノリウムの皮相に染ませ
流れず星
ひとすじ空にふるたび
その果核に
渋味の金塊鳴りひびく


自由詩 流れず星 Copyright 道草次郎 2020-10-25 22:05:04
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