晩方考えた事
道草次郎

我家のせせこましい厠(INAX,2017製)で用を足しながら考えた。今まで一体どれ位のオシッコを流してきたのかと。何トン、いや何十トン?詳細は無論不明だが、まあ、それはとにかく凄いことに相違ない。まさに吃驚仰天だ。下水処理にしろ何にしろ、考えてみれば全く信じられないことばかりな世の中だ。橋や高速道路、高層タワーに大型クルーズ船の類(etc).…。

ボクなどはついついこんな妄想に遊んでしまう癖がある。

「森の如き大洞穴(ねぐら)に掛かってくる1本の電話。炎天下、居丈高な工事業者にビクつきながら高架橋をせっせと組み立てる気弱そうな巨人。黄昏を背にうやうやしく日当を受け取るそのすがた…」

ああ実にこれ画になる(!)などと独りごちる。そんな妄想でもしていなければ、なんというか、どこか大事な所の神経がすり減ってしまうような気もする。そんなおかしな具合に頭がなっているのは、屹度排尿に拠る低圧現象かしらん、なんて。神妙に用を足しつつ人間の驚くべき事業に思いを致す盆の晩方であった。


散文(批評随筆小説等) 晩方考えた事 Copyright 道草次郎 2020-08-15 01:12:07
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