海を見に行く日
大覚アキラ

約束のすべてに
火を放って
いま

ゼロに向かって
光の速さで遡っていく
裏切り者を乗せた
クリーム色の機械が
淫らな静謐の中
波ひとつ立てず
貫くように音もなく
飛ぶ

やがて
海が見えるだろう

潮の匂い
遠い記憶の中の
夏の日の水色
よみがえる
あの波音
まどろみの午後

そうさ

たとえば
世界中の海が
目隠しされた鳩たちの涙で
できているとしても

燃えろ
燃え尽きてしまえ
すべての約束



自由詩 海を見に行く日 Copyright 大覚アキラ 2005-04-14 14:13:00
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