アイリスの妖精
丘白月

虹の女神イリスが
一人ぼっちの妖精に
虹の刺繍糸で編んだ
ドレスを着せて笑った

地上に降りた妖精は
刺繍糸を一本だけ
すっーと抜いて
オタマジャクシが集まる
楽しい池の畔に挿した

水面に映る空のなかに
妖精の顔がゆれる
笑っているように
黄色い花が咲く
泣いてるように
紫の花が咲く

もっとたくさん
一人ぼっちはもいや
刺繍糸をぜんぶ使って
池を囲んで花が咲く

裸になった妖精は
恥ずかしそうに
アイリスの花びらを着る


自由詩 アイリスの妖精 Copyright 丘白月 2020-04-26 08:42:58
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