くじびき(おめでとう、当選いたしました)
鳴神夭花

誰もいない場所で
本当は蹲っていたかった
踏切の音がしている
春の陽射しはあたたかくて
此処にいるのが可笑しいのに
誰も指摘はしてくれない

そういうものじゃあないよ
そういうものじゃあないんだよ

分かっていても目を開けられない
冬の音が恋しい
暴力的な雪の音で
全部かき消して欲しかった

何も残らないで
それが当たり前でしょう

冬が終わるなら
春が来るなら
夏に死んでしまいたい
このまま水に融けても良かったよ
誰も許してくれないけど
許されるようなものでもないけど

ああ
かみさまのきまぐれ

あきがくるまでまたなくちゃ


自由詩 くじびき(おめでとう、当選いたしました) Copyright 鳴神夭花 2020-03-04 21:47:26
notebook Home 戻る  過去 未来