不良少女のポーズ
mmnkt

霜が降り
草がシャリシャリと音を立てる
冷たい朝を越えて
午後には暖かくなり
車の皮膚を膜のようにオーラのように
蜃気楼がつつむ
厚さ一センチばかりの蜃気楼は
車にかけられた魔法だ
(効果はとくにない)
証明写真機の裏の
日向と日陰の境い目に腰を下ろし
思い悩む不良少女のポーズで一息つく
夏のような日差しに
目がプールに行きたがる
フェンスの向こうでは
馬の尻尾みたいな大きなすすきが
親族のように集まり
パンプキンは縁に一列に並び
一つは顔になっている
(ハロウィンの末路だ、と思う)
そこは農家の土地で
倉庫やトラクターがある
思い悩む不良少女のポーズを自分で見て
どこか誇らしい気持ちになる
社会でまっとうに不良をするのは
賢くないと出来ないのだ
少しずつ、外したい
ふいに
このまま君だけを奪い去りたい
と口ずさむ
奪い去りたい君なんて
どこにもいないのになと思って
ちょっと笑う


自由詩 不良少女のポーズ Copyright mmnkt 2019-12-13 19:22:12
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