もちろん玄関はー
プテラノドン

もちろん玄関は話はしない 耳がないというのは別だが
セールスマンと犯罪者をごっちゃにしたてる女の
手には 誰かが描いた オモチャの指揮棒が握られている 
彼女がそれをふるえば 世界は一斉に晩餐をしなくちゃならない
「ちょっと待ってと」抜け出した君が
自分の部屋の押入れのなかの楽譜を探し始めてから
どうしてるのかなと思ったりする男からもらった
ぬいぐるみが汚れているのを見て、何かを躊躇している
首すじが 伝説とか神話の女神のそれと呼べるのを 
誰が伝えるんだ?と、もう一方のおれが言う。
 ありふれた朝に―雨が降っていると、外の街灯の明かりがぼやける音を聞いている
君が カーテンと窓ガラスにはさまった姿を とらえて去っていく
新聞配達員のそいつが ボロアパートの階段を上がり 
階段を下りてくる妹の、たくさんの扉を開ける音が
テレビよりももっと 朝の多くを語っている間に
窓ガラスに浮かぶ 君の指紋を見つけた 空っぽの頭の小鳥達が
諦めたように飛び立っていくのを 
君は知らない
その小鳥達の中に 誰かが言ってた 青い鳥が混じっていたのを、
さえずる声を 玄関が盗み聞きしていたことを。


自由詩 もちろん玄関はー Copyright プテラノドン 2005-04-04 08:43:39
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