からっぽの食卓
鳴神夭花

君が愛していたものをすべて
壊してみてそうしたら
君は君でなくなってしまうのかって
そんなことをアボカドを凍らせながら
思ったりして

蝉の声がする
誰の所為でもない
僕は一人で
影法師を追いかけている

パチンコ屋の看板が壊れていたよ
そういうものだよ
いつだって壊れているものがあるよ
誰だって狂ったものを
原風景に持ちたくはないだろ

君が愛していたものをすべて
壊してみたかったのかも
今となっては分からないけど
君がそんな僕を憐れんでくれるなら
くれないだろうけど
そんな嘘を吐いてくれるなら
それも悪くはないなって
そんなことを思ったよ

てるてる坊主
仲良く揺れて

明日のトーストには
目玉焼きを乗せてね
半熟がいいな


自由詩 からっぽの食卓 Copyright 鳴神夭花 2019-08-23 21:05:26
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