竹花
すいせい




さやかに聞いた
竹の花が咲くゆめを
みどりと土の色の混じる
薄暗いさなか
ちいさなとかげが
わたしのひふを すべる


魂が
つまっていたという
どうして うえつけられたのか
かぐやの蓐は
ひかりや うたを満たし
根をひどく強かに張り
まっすぐに生えている


不穏な音符が葉を揺らし
あたらしい紀ははじまる
とかげはくるくると喉を鳴らし
そのまま溶け込むように
わたしの奥のほうへと這い入っていった
あちら側のことばではなさないで欲しい
繊維に はが軋む
わたしはそれを開封する
たとえば母がそうしたように
みずから のがれるように


ほそい雨が音楽の幌をはる
そのなかに一本の竹として
わたしは はらむ
うまれてくる わたしににたとかげが
うまくかくれられるように





自由詩 竹花 Copyright すいせい 2019-08-11 21:13:06
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