アロハの男
うめバア

外気温が37度としゃくにさわるほど暑い
8月となったなら下手な言いわけもできない
昼メシは、冷やし中華かチャーハンか
すると横から
アロハの男、ああ

ふらりと無責任にあらわれて
どこへ電話なんかしているんだ今時
イケメンでもなければ強そうでもない
ぴらぴら薄手の衣をまとい
あんたはこの夏をどう生きるのか
アロハの男

あんたがこの街を
きっとこんなふうにしている
不埒な気分が歌謡曲に流されて
どんどんプライスダウン
ずっとそうやってるのか、アロハの男

かき氷屋ののれんをくぐって
また知らない娘に目配せするのか、アロハの男
照りつける裏道に白い雪の降り積もった日のことを
あんたは思い出しもしない
モテもしない、広がりもしない、なのに
せっかくあんたを見つけてくれた、あの娘の気持ちさえ
電子決済に変えたのか、アロハの男

タピオカミルクティ屋の行列をすり抜けて
安物の下着の店にも寄らずに
何か、よりくだらないものに吸い寄せられて
ダメな男だ、アロハよ

灼熱の太陽が
わがままと無駄使いを奨励
でも、あんたが好きなのは暗いところ
そういう男、アロハは結局

横からふらりとあらわれて
へらへら笑って
いつのまにか、消えている








自由詩 アロハの男 Copyright うめバア 2019-08-01 00:49:19
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