置き去りにされた筆の言葉
印あかり

置き去りにされた筆は
黴びて、いいにおいを放ち

窓の隙間から吹き込んでくる青空は
甘く舌に転がりこんでくる
永遠を誓うように

誓われた永遠はキャンパスの上で
苦しみにのたうち回り
やがて、死ぬことばかりを考える

「それでも生きていくんだよ」
と、囁きが聞こえた

わたしは
青い絵の具をきゅっと絞り出す

永遠はキャンパスに埋まり
寝息をたてはじめたよ









自由詩 置き去りにされた筆の言葉 Copyright 印あかり 2019-07-28 12:49:26
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