何も分からないがある
moote

蜘蛛のように
歌うように
少ない匂いを手に取りながら
分けるゆくえを
春に放つ

色を触ったら
どこを見渡しても花火はないのに
花火になった
よく見たら花火ではなかった
だがそれを花火だと信じる子供
ただ水だけを求めて

咲いたらいけない花が
咲き続ける花を羨む
道にのみ咲く花
望遠鏡で見る花

なんてことない橋を
偉大だと思い込む
偉大すぎる橋を
けなしてゆく

生まれたこと
触ったこと
ただあるのは
何もないということを
忘れたことだけ
もう何も分からなくなっただけ

ここにあるのは
石ばかり
石さえもない
もう分からない












自由詩 何も分からないがある Copyright moote 2019-07-09 03:23:04
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