ハチミツ
由比良 倖

私は瓦礫のような絵を描いている、
白は絵の具で、絵の具の壁は白い、
あなたは私のガラスを叩くでしょう?
私は吹きっさらしの家です

夢ではなくて、死ではなくて、
現実にはふた通りあります、
ひとつは思い出、ひとつは希望、
眠気と覚醒の両方にまたがる私の王国

この世の果てから零れ落ちるような、
奇跡みたいな、ゆらゆる時間、
今という時はハチミツ色に、
私の舌の上にある

眠気と覚醒にまたがる私の王国、
私は瓦礫の中で思い出を見付けます、
誰のものでもない私、
ハチミツ色の時間の中で……


自由詩 ハチミツ Copyright 由比良 倖 2019-07-08 03:15:46
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