ハッケヨイ、自撮り棒
宮木理人

この詩を書き終わったら、やりたいことがある。夢はでっかく、富士山ダ!
富士山のあたまに、スカイツリーをブッ刺して、その上にさらに東京タワーをブッ刺して、そのてっぺんで、自撮り棒使って写真を撮る。そして、日本一のいいねを獲得する。日本一のいいねというのは、日本一多いいいねという意味じゃなくて、日本一の、たったひとつの、いいねだ。
そいつを獲得したら、ぼくはまず、画面のなかからその「いいね」をすくい出し、できるだけ大きな水槽のなかに入れて、飼う。
毎日餌をあげて、ちゃんと掃除もし、愛情を込めて、面倒をみる。
たまに来たお客さんが「立派ないいねですねえ」なんて言いながら目を丸くして、ぼくも後ろで得意げな表情を浮かべるんだ。

だじゃふぃええだ、もあうあだくでいおおあか。

読むということは、書くということだから、
ぼくは今これを、自らの意思で書いているのですが、同時にあなたは、これを読みながらなにを思いますか。
ぼくは、書いているから、きっとこの文章を、誰よりも読んでいるということになるんでしょうけど、そこには、本当に、ぼくしかいないのでしょうか。

自撮り棒で撮った写真をインスタに投稿しようとして、無言で載せるのもなんかあれだから、なんかひとこと付け足そーと思って書いた文章に、ぼくの名前の文学賞をあげる。


自由詩 ハッケヨイ、自撮り棒 Copyright 宮木理人 2019-05-31 23:34:48
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