ニュータウンと都心の間
うめバア

小学校からおとなになるまで、住んでいたのは
なにもかもが真新しい郊外の住宅地だった
白い壁、真っ直ぐな道路、ピカピカのスーパー
それ以外に何もない
それが当たり前だったから
都心から1時間半、そこからバスで20分

東京で暮らすようになってから
ふるい、ふるいものが、さらっぴんの新しいものと
混在していることがおかしくて、悲しくて
時にうとましかったりもした

新しい町だった郊外の住宅地は
古くなり、草も木も伸びた
真新しい公園ではしゃいでいた子どもはもういない
モデルタウンと呼ばれた私の町は
いまや高齢化と人口減少のモデルタウン

最先端の都会のなかで頑強な古さを守る一角と
時間とともにあっという間に寂しくなった郊外と
そのどちらもが私の文脈となった今
私は、いつも
どこでもない場所に帰ろうとしている

ふるくてきたないものが
あたらしくてきれいなものに変わることの
悲しさ、おかしさ、くやしさを
ぎゅっとこらえて
ふうっと力を抜いて


自由詩 ニュータウンと都心の間 Copyright うめバア 2019-03-22 12:29:03
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